犬や猫の殺処分をゼロにしたい―。
青森県立三本木農業高校(十和田市)の生徒たちが、
殺処分された犬猫の骨を引き取り、肥料として土に混ぜて花を育てる活動に取り組んでいる。
伝えたいのは、
ペットブームの裏側で繰り返される殺処分の現実と、
飼い主の都合などで〝処分〟された動物たちの命の重さ。
生徒は「殺処分がゼロになる方法をみんなで考えてほしい」
と訴えている。(岩淵修平)
活動を始めたのは、
同校動物科学科愛玩動物研究室の3年生14人。
骨を肥料にして校内で育てた花をプランターや鉢植えに分け、
犬と飼い主が参加するイベントで配布したり、
市内の保育園や老人ホームに届けている。
受け取った人からは、「愛犬と同様、大切に育てたい」
などの感想が寄せられる。
木崎加奈子さん(17)は
「動物を飼っている人もそうでない人も、考えるきっかけになれば」と願いを込める。
活動のきっかけは3月の県動物愛護センター(青森市)見学。
焼却後の骨が事業系廃棄物、
つまり「ごみ」として捨てられているという事実に、生徒たちは大きなショックを受けた。
石川原美結樹さん(17)は「何もしてあげられないのが悔しかった」と話す。
どうすれば殺処分を減らせるか。話し合いの末、
せめて骨を土に返し、多くの人に命の貴さを伝えようと、花を育てることを発案。
活動は「命の花プロジェクト」と名付けた。
同センターから引き取った骨は、
生徒たちが手作業で砂状に細かく砕いた。
焼け焦げた首輪や臓器なども残っており、泣きだす生徒も多かったという。
それでも、殺処分をゼロに近づけようと、活動を続けている。
一方、犬猫の骨を肥料として使うことに対し、「かわいそう」などという声もある。
赤坂圭一教諭(39)は
「賛否両論があるのは分かっているが、
生徒の思いを伝える方法は、ほかに思い浮かばなかった。
涙を流して感動してくれる人もおり、考えるきっかけになっていると思う」と語る。
同センターによると、
2011年度に殺処分されたイヌは788匹、ネコは2621匹に上る。
イヌはやや減っているものの、ネコは増加傾向で、その半数以上が子ネコだという。 【写真説明】 三本木農業高の生徒たちが、
犬や猫の殺処分をゼロにしたい―
と願いを込めて育てるサルビア=6月28日、十和田市
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